2020年の豚山肥太のことのすべて

豚山肥太による詩と小説を綴るページ

超短編小説

SMILE

この街で一番高い塔の様なビルに貼り付いた巨大な液晶画面では、僕の知らない若い異性達が時代を羽織って、新しい文化を歌っている。僕はヒノマルを二枚、屋台の店主に渡すと、出来上がったばかりの、ネギとてんかすだけのうどんをすすった。 僕がうどんをす…

今日も気だるい眠気の中を一時間目から突っ走り、というか存分に睡眠を確保しながら、本日の終わりの6時間目を迎えながら、帰宅したら続きをやる予定のゲームの事を考えてワクワクと興奮だけしていた。 昨日までに進んだゲームの中で、確保したもの、広げら…

化学

学生時代の人間で集まって5人対5人で婚活パーティーが行われた、皆、ここいらの島々から出てきていて、僕は丁度、三つ目の編入先の大学の単位も満たせぬままに、あちこち、アルバイトをして食いつないでいた。 初日に、パーティー会場の島で買った新聞では…

夜空の流星群

人間関係で上手くいかない事が重なって、この先の人生に絶望して、僕は殺されてしまいたいと思うようになった。自殺への衝動とほぼ同じであったが、口に出すと言葉は、殺されたいになっていた。 僕はなんとか回っていた家族の中で、父にも母にも殺してくれと…

渇望

僕の地域の柔道の地区大会の最重量級は、長い間、うちの中学の大将が優勝し続けていて、地区に敵無しの状態だった。最近、柔道部の出来た私立の中学校は相当強いらしいという知らせを聞いてから、一月もせぬうちに、僕らの中学とその中学とで合同練習が組ま…

スター

僕の通う学校は体育祭と文化祭、それ以外に毎年、全学年から七人が選出され、皆で高名な学者のもとで合宿を行う。合宿の最後の日に、合宿の成果を全校生徒の前で披露するきまりだ。 今年、僕が選ばれた事を知ったのは、期末テストが終わった後の担任との面談…

コーヒー

久しぶりに遠方に住む友人が僕の家まで遊びに来るのでその日は朝から掃除や友人をもてなす簡単な料理の準備に追われていた。 午後を過ぎた頃に家のチャイムが鳴って友人を部屋に招き入れた。 季節は少し肌寒い日々が続くようになってきて、友人もコートを着…

ヒーロー

僕は照明を落とした部屋の中を、新作のゲームを夢中になってやっている。途中からはネットで見た裏技を使って無敵状態でゲームをやっている。全てのパラメーターが異常になった登場人物達が、敵に遭遇する、戦うというより、出会った瞬間に敵は消滅してしま…

モンスター

この都市では比較的大きな本屋で注文しておいた「小説の書き方」の類いの本を受け取ると、自宅への帰路についた。本屋ではデカデカと、地上に突然現れるようになった化け物の話が、大々的に宣伝されていた。近々映画化もされるようで、映画のエイリアンを地上…

柔道場について

中学へ進む前は部活は柔道部に入ろうと決めていて、小学校の終わりから近くの町道場へも通い出した。道場には同じ地域にある全国屈指の大学柔道の先輩が教えに来てくれて、凄く恵まれた環境だった。 僕が中学へ進む少し前に、中学の柔道部は部員がいないこと…

帰郷

夕方には涼しい風が吹き始めた頃に、僕は故郷の温泉地で開かれた集団お見合いに参加した。 同級生も何人か参加するらしく、僕は密かに胸を高ぶらせて帰郷の途についた。 あの子はどうしているだろう? そのことばかり考えながら、僕は新しく作られたお風呂付…

部活動のはなし

その場所は校舎から少し離れた位置にあり、その部室では沢山の変わったものが作られていた。雰囲気は寒色のような彩りが部室全体にフィルターのようにかかってあり、最初に訪れたのが、真冬であったことからか、部室の構成物の一つ一つが、まるで雪の結晶で…

つづく

第一集団ははるか遠く僕はそれでも走っていた、真夜中を、真っ昼間を、濁った海の藻屑の中を、ただ己の中にある前へと向かう推進力だけを頼りにして、ひたすら走っていた、朝焼けの道路に規則正しく並んだ街灯を数えては、もう一つ、もう一つ、永遠に終わら…

遠い記憶から【超短編小説】

いつのも学校の帰り道、通学路を帰っている僕、工場の多い僕の住む街には、時々、工場の煙が問題になって、光化学スモッグになっていた。 見慣れない、工場の扉を開けると、玄関があって、今日からこの家に住むことを理解した。同じような年の子供が、3人い…

行方【超短編小説】

大事すぎて触れられないものがある 大事すぎて誰にも売れないものがある 大事すぎて壊してしまったものがある 時間はただ、ひたすら不可逆的に流れていく、それでいいんだ。それでいいんだ。 僕は東海地方の電車の路線図を見ながら、行き先と乗っている電車…

喜望峰にて【超短編小説】

長い雨のトンネルの中をカレンダーがくぐると バスルームには小さく黒いカビが現れて キッチンが不衛生になる速度がいくぶん増した。 久しぶりに買ったNewtonという雑誌は思っていた特集が期待外れで それでも普段読まない事が盛り沢山で自分の中で勝手に及…

玩具の蝉【超短編小説】

恋がしたい。そう思っていた。片思いでも誰かに胸をときめかすことがなくなっていく、 ふと、あの不整脈が恋しくなって、私は春に似合う服を買いに、スーパーに出かけた。 スーパーでは沢山の野菜が値段も安くなって売っていた。いつも買う野菜は同じで、調…

ある人生【超短編小説】

雨を自宅周辺まで予約すると、僕は家庭菜園のコンピューターを開けると、いくつかのカードを入れ、あと2,3時間後にやってくる雨への準備を整えた。 そろそろ、家庭菜園のプログラムも古くなってきているので、現行バージョンに最適化させて書きかえないとい…

かすみ【超短編小説】

私には恋人がいて、名前をかすみという。一般的にはラブドールと呼ばれるもので、世間の人は恋人とも人間とも思ってくれない。だが、私にはかすみは恋人以外の何者でもないことははっきりと確かなのだ。 私はある夏、仕事の休暇にかすみを連れて、旅行に出か…

友人へ【超短編小説】

空に太陽がのぼり ある子供は電車に夢中になり、ある子供は昆虫に夢中になった。 そんな子供の中の一人が争いに夢中になった。 正確に書くならば争いについて考えることに夢中になった。 彼は目の前で起きる子供同士のケンカ、親が四季折々に折りなす夫婦げ…

strawberry bus 【超短編小説】

夜になると俺は機械のスイッチを入れて女の裸を眺めた、女の裸から女の裸に飛んで、ページ全ての女の裸を見終わると次のページに飛んでまた女の裸を眺めた。 甘く酸味がかった夜の中を奈落に落ちるような気持ちで俺は溶けていった。 音楽と照明の刺激が強す…

今日のすべて【超短編小説】

TVの中ではチャンピョンがたかだかと拳を上げて歓喜の中にいる いつか、その場所に行くんだと僕は決めて ほてった魂をかかえて、走りこみに向かった 深夜を回っても原稿は完成せず、政治的な政府の中の政治的な女と男の政治的な話をまとめるのに、苦慮してい…

帰るべき場所へ【超短編小説】

高ぶった感情で震える声で歌っていた まるで自分が主人公みたいで、その頃はまだ酔えていた どんどん、客観的にみざるおえない事実がハッキリと積もって 僕は僕が天才でないと知る ただ、翼くらいは生えてるはずさ 今だって空くらいは飛べるくらいの 駅前の…

夜のセツナセツナセツナ【小説】

いくつかの抽象画のタイトルを書き終え、僕は無事大学に入学した。 購買部に筆や絵の具を買いにいくと、それは僕の住んでいたマンションの隣に立っていて、いつも働く露店型のコンビニがあり、購買部の中では、セール中のサイズの大きい服が沢山売っていた。…

白昼夢中、今宵、不味い店は繁盛す【小説】

器に浮いたスープの脂を見ながら、食欲はわかず、かえって怯えのように唾液が胃袋から、上がる。本当にこの店の飯は不味い。何度もした確信を更に塗り固めながら、俺は、店のマスターを呼んで、勘定を払った。帰り支度をととのえながら、店のマスターに、大…

化けものの口【小説】

海沿いの街で、僕は幼少期を過ごした。 その年の夏は普段より雨粒が荒れ狂い、嵐の多い夏だった。 僕らの地域に古くから伝わる、子供から大人への通過儀礼として行われる、 〝化けものの口〟という慣習が、あった。 海沿いの波に削られた岩場と洞窟が、まる…

ノイジーサマー【小説】

目の前にホログラムの様に過去の恋人たちが映し出され、一人づつ、最後に交わした言葉を言っては消えて、言っては消えてを繰り返した。あっという間に終わったけれど。 最後に出てきた母に似たタレントさんとは、何の関係もなかったが、どうやら、今日の僕の…

上手く話せない日には【超短編小説】

豚山肥太が書いた超短編小説です。

なる。【小説】

降り出した雨は街をすっぽりと網のように蚊帳のように覆ってしまって、 雨に苦しむ人を生み出して、傘がいつもより売れて、室内にいる人の数が、前年同日比と比べて、幾分、増加した。 私は水平線の夢を見ている。 男は、無人のスーパーマーケットに入ると、…

平凡な人生【超短編小説】

豚山肥太の書いた超短編小説です。