大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

2022-01-01から1年間の記事一覧

Sleeping Golem と dwarves

この町にはかれこれ50年近く眠り続ける男がいる。 男は大きな身体をしていて、眠りに落ちるまでは、凄く優秀な事で有名で、勉学に関する事では、今や町というより都市と呼ぶ方が自然な程、発展したこの町でも彼の記録を破るものは現れていない。 男には色の…

Storytelling

朝、男達は稼いでくるぞと拳を上げて家を出る。誰もそのチケットが大当たりしない事は知っている。だけどさ、続けるんだ。いつだって過程の中に私達の墓標はある。 苦悩せよ。100万年経ったって、そうして私達は生み出している。作り出している。 物語はいつ…

暑さによりて

八月が成虫になる折、雨は足音を潜め、風のない季節が流れていた。 僕は極めてよくこの地球にいる人間というやつで、ご飯を食べる為に営業マンをしている。次の営業先へと歩みを進めながら、止まらない汗に危険さへ感じながら、ポカリスエットのペットボトル…

雲から降る音楽

誰だろう?こんな美しい雲を描いているのは 僕は空を見上げながらいつまでもそうしていたかった。 ラジオカセットのボリュームを上げて、そう、まるで空から音が降ってくるようで 僕はそのまま、音楽になってしまいたかった。 バイトもろくに続かねぇ。直ぐ…

夢まで走ってった

履きつぶした靴からは路面を濡らした雨水が絶えず入ってきて、これだから雨の日は嫌なんだ。そう、都会の隅に隅に向かいながら思ったんだ。 一時、流行ったミニ四駆のサーキットを備えた模型店の店舗をそのまま使ってやってるという怪しげなその店ののれんを…