大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒーロー

僕は照明を落とした部屋の中を、新作のゲームを夢中になってやっている。途中からはネットで見た裏技を使って無敵状態でゲームをやっている。全てのパラメーターが異常になった登場人物達が、敵に遭遇する、戦うというより、出会った瞬間に敵は消滅してしま…

モンスター

この都市では比較的大きな本屋で注文しておいた「小説の書き方」の類いの本を受け取ると、自宅への帰路についた。本屋ではデカデカと、地上に突然現れるようになった化け物の話が、大々的に宣伝されていた。近々映画化もされるようで、映画のエイリアンを地上…

柔道場について

中学へ進む前は部活は柔道部に入ろうと決めていて、小学校の終わりから近くの町道場へも通い出した。道場には同じ地域にある全国屈指の大学柔道の先輩が教えに来てくれて、凄く恵まれた環境だった。 僕が中学へ進む少し前に、中学の柔道部は部員がいないこと…

筆跡

あなたが馬鹿にしてくれたから今日がある あなたが笑ってくれたからこの手がある あなたがさげずんでくれたからこの思いがある あなたが否定してくれたから今こう思うことができた あなたがいてくれたから今の僕がある 夜の中を幾つもの線を引くことを繰り返…

帰郷

夕方には涼しい風が吹き始めた頃に、僕は故郷の温泉地で開かれた集団お見合いに参加した。 同級生も何人か参加するらしく、僕は密かに胸を高ぶらせて帰郷の途についた。 あの子はどうしているだろう? そのことばかり考えながら、僕は新しく作られたお風呂付…

部活動のはなし

その場所は校舎から少し離れた位置にあり、その部室では沢山の変わったものが作られていた。雰囲気は寒色のような彩りが部室全体にフィルターのようにかかってあり、最初に訪れたのが、真冬であったことからか、部室の構成物の一つ一つが、まるで雪の結晶で…

つづく

第一集団ははるか遠く僕はそれでも走っていた、真夜中を、真っ昼間を、濁った海の藻屑の中を、ただ己の中にある前へと向かう推進力だけを頼りにして、ひたすら走っていた、朝焼けの道路に規則正しく並んだ街灯を数えては、もう一つ、もう一つ、永遠に終わら…