筆跡
あなたが馬鹿にしてくれたから今日がある
あなたが笑ってくれたからこの手がある
あなたがさげずんでくれたからこの思いがある
あなたが否定してくれたから今こう思うことができた
あなたがいてくれたから今の僕がある
夜の中を幾つもの線を引くことを繰り返し
時間を重ねてはいい曲線が出てくれることを待っている
これを一生やっていこう
何度も思ったようにやはりそう思った
ワンルームの部屋には誰からも電話はかからず
メールもLINEも届くことはない
これからやることは
ただ描くこと
自分の中の純度を何度も濁らせてたどり着いた場所
夏に蝉が鳴くように
ただ描くだけ
食事、睡眠、健康
それだけを気にして
描いたものが作品なのか筆跡なのかはどうでもいい
一つでも筆跡を
君がいてくれたから今日、心はこの場所にある