大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

六月と九月と、今日の君へ【詩】

どうして あの場所で

僕は君に気付いてしまったのだろう

美しいことは知っていて

利発なことは知っていて

だけど 世界のそこら中の

その他大勢だと決め込んでいた

僕の人生に関係無い

ただのとびきり美しい人だろうと

忘れた 色々 忘れた

感情も消えた 失った

笑顔だけ 繰り返し

思い出しては

もう 一生 出会うことが無いことが

わかっていることが

私には残酷だろうとて

あなたには

私に会ったとて

それこそ あなたの生涯のその他大勢だろうと

私にはわかりきっているから

まぶたを閉じて

9月の最中に

君と僕をつなぐ記憶ごと

忘れてしまおうとする

コンセントぶちきってやりたいほど

いつまで なめくじみたいに

うじうじ うじうじ

恋してやがんでい

と暴れてみても

どうせ 君の横顔を思い出して

惚けてしまう

気持ちの悪い

醜男のくせに

そう 言葉を書くことで

免罪符にしているつもりのあるまじき

君にはつらかろうけど

編集しながら

これだけできる人なのに

なんでって

思ったらこみ上げて

プロだったんだよ

プロだったんだよ

通用してたんだよ

めっちゃめっちゃ頑張って

通用してたんだよって

叫びながら泣いた

泣いて 泣いて 泣いた

いつか 電車で言ったように

今度 会うときは たぶん

カンヌでもベネチアでも取り放題で歩いているよ

そして

とびきりの女装をしてね

 

どれだけ 映像を作っても

どれだけ 詩を歌えども

僕の一生が電気的な終わりを告げようと

記憶の中で

たとえ 何千年経とうとも 

九月の君が

笑ってる

恋にしては

あまりにも

大きすぎたから

せめて

言葉にして

忘れようとしている

いつか

君が見たら

気持ち悪いんじゃないだろうかと

申し訳ない気持ちいっぱいで

ごめんなさい

恋してしまって

ごめんなさい

そう 付け加えないと

許されもしないんじゃないかと

思うほど

本当に

君が

君が