大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

口紅さえあればいい【詩】

土曜日の夜に添えられた

悲しい出来事

グラスには溶け出した氷

はやくしないと終電がなくなる

伝えることは伝えた

答えもしっかり返ってきた

だけど 私の唇がなぜこんな色

せっかく 映えるように塗ったのに

口紅を手にとって 夜を塗り替えてしまおう

口紅で素敵な恋を描こう

月曜日の朝に起こった

バカバカしい出来事

ペットボトルが汗をかく

はやく取りに帰らないと電車に間に合わない

あの人のアドレスは消した

事務用品になった私のケータイ

だけど 私の唇はとっても明るい色

もう 朝に 後悔はいらない

口紅を手にとって 朝を塗り替えてしまおう

口紅で素敵な恋を描こう

口紅を手にとって 毎日を塗り替えてしまおう

口紅で素敵な一日を描こう

少し笑って 少し笑って

笑って 笑って