大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

顕在化しない決まりの感情【詩】

この気持ちは持ってはいけない

そうずっと考えている

この気持ちは絶対に人に伝えてはいけない

世の中には沢山の人を思う気持ちがあるけれど

僕は少しづつ積み上げた

やさしさで出来たこの気持ちを

誰も彼にも隠して生きていく

せめて詩の世界なら

僕の罪も許される

人を好きになってはいけない

それが僕への罪と罰

僕は思いを口にすることはない

それは人のすることではない

知っているそれくらい

だから、いつまでも鳴っていて

それだけでいいから

鳴っていて いつまでも

恋の歌など歌うに値しない人間なのかも知れない

だけど

これは僕の生きていく

希望で光だ

 

詩の上でだけでいいから

自由に愛と恋を歌わせて

どんな事があっても

思いを持つことはしないから

ある街で

人が暮らし生きている

ただ、それだけの事で

僕には世界に入国する権利はないんだ

例え、どんなに思っても

この思いをすぐにかき消して

僕の日常は続く

恋してはいけない

愛の感情を抱いてはいけない

お前はお前の世界を生きていけ

許されぬ

許されぬ

お前が人でいたいなら

ありふれた人であれ

働いて

汗かいて

家賃払って

ご飯食べて生きていけ

思いは忘れることだ

思いは持たぬことだ

ただ

詩の国のことばのならびでも

僕は気持ちを隠して逃げていく

ありがとう

しか言えないよ

優しいミュージック

鳴っていて

ずっと

鳴っていて

この傷が癒えてしまって

この思いを忘れてしまえるまで

僕が人であり続ける為に

大事な事なんだ