大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

篠田さんじゃない【詩】

年が十くらい違う若い子と話す機会があるかもしれないと思って

髪型をソフトモヒカンにしようとしたら、注文間違えて、バカボンみたいなった

最近の子は、日常会話にAKBの話とかするんかなと思って、溜め込んだ漫画雑誌のグラビアページ読んで

どの娘が好みか名前覚えようとする

しのださんが好き しのださんが好き

ジーパンがダサいな思ってパンツ買いにいこう思った時

自分のしていることのダサさに

もんどりうってパンクロックしたくなる

ギターもひけんし ベースも ドラムなんて

だけど声だけデカい

うねりまくったエレキの音が血管を流れる

ドラムスティックが、心臓を加速するように激しく叩きつける

フルボリュームでブルーハーツのロクデナシを歌う

しのださんが好き しのださんが好き

どんなにイタい奴と思われてもいいから

高校やめる前に

後であんなやつおったって思われるために

心臓バクバクなって

手も声も震えるんやけど

笑いとることばっか考えてた

イタい笑いやったやろう

でも あん時の僕に僕は憧れる

骨折した足で走りぬける100メートル走のゴールテープは意味は

きっと誰よりも自分が覚えてる

しのださんじゃない しのださんじゃない

高校時代の友人が僕の開いた個展にべっぴんの嫁を連れてくる

べっぴんの嫁が言う しのださんじゃないけど

「I君やろ。クラス違ったけど覚えてる。」

嘘でもええねん。

あん時の僕に伝えたい

そこのMr.変態生物ストレンジー お前 今 しんどうてしゃーないかもしれんけどな 32なったら全部忘れてる

今のお前の人生 けっこうおもろいで 

これからはもっと面白そうや

しのださんじゃない しのださんじゃない