才能を下さい【詩】
真昼の光が寒い秋のはじまりを照らす
僕はベランダのガジュマロの木を見ながら
描きかけの漫画のネームをほっぽり出して
今日はあの娘に会えるかな
なんて片思いの言葉を
パソコンに向かって刻んでる
あの公園の側にあるパン屋に行けば
たぶん 会えるんだ
あの娘は僕みたいな いびつな人間とは
違う世界で暮らしてる
きっと 背が高くて 長いジーンズの彼氏がいるんだろう
きっと そいつは バンドなんか組んだことが合って
それなりに 楽器やなんかもできるんだろう
でもきっと そいつより 僕の方が ・・・
あの娘は僕みたいな いびつな人間とは
違う世界で暮らしてる
きっと 二人が手を繋げば 雑誌の表紙になるような
きっと そんなもみ上げの長い彼氏が
あの娘と長いキスをするんだ
でもきっと そいつより 僕の方が ・・・
なんでもいい なんでもいい
とびっきり いびつな 才能を下さい
なんでもいい なんでもいい
とびっきり いびつな 才能を下さい
中途半端なのはうんざりだ
中途半端が僕を狂わす
どうせ長く生きれないんだ
もがき苦しむ 毎日に 反吐が出そうだ
発作が起こって タブレットを 飲み込む
wow wow
いくら叫んでみたって
wow wow
いくら見つめてみたって
変わりはしない いびつな 日常は うんざりだ
痛点だけを刺激する 毎日がうんざりだ
ピカソくらいでいいから
僕に才能を下さい
バッハくらいでいいから
僕に才能を下さい