大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

きっと、もう怖くない【詩】

ゆずれぬものが大地にあったせいで

私は物を覚えることを忘れた

偉大な書物も、空き缶の箱船も

すべて 消え失せちまう

人 一人生きて 誰からも 笑われど

我が名を 辿る人の 無き道を

ボリュームが大きくなっていく

頭の中で響く 歌声は 今日1日分の翼をくれる

最終最悪、死んで忘れられて、オワリサ。

どこかにいったミジンコだった頃の記憶

やさしい綿の布巾で頬を拭われた日の朝日

ラクタだらけになっていく 小さなねぐら

人は 想いによりて 瞬く間に

想いよ 想いよ 千年を越えん

ただ 描くんだよ

風吹けど 雨降れど 何もかも忘れど

輝くことも どうせ なかろうに

ただ 曖昧な 記憶の中に 産声を上げ

最終、最悪 笑われて やがて 忘れられて オワリサ

束の間に

我が生涯を 灯さんとす