大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

人間でなくなってしまっても忘れない【詩】

世界のすべてよ わたしに 教えておくれ この命は 価値があるのだろうか

やがて引き潮が来て なにものもかな 我が泣き声も 一善の善し悪し

からめゆく進軍 後者の理論 6階のフィールドワーク 忌憚なき 燃え上がる四月

きらめきと 他になにが 必要? 世界を少し縮めておくれ 私の声の方角へ

やがて 全てが 一日のように 均一な 標準体の 永訣

ほころびて ほころびて かなしみて たらば 行く哉

雅楽の決済 ろくろの末端 機雷の含蓄

愛を語る前に 傷を癒やせ 飛び立つべきは 今ではない

閑散な商店街 自発的自由権 世界との交渉事項 せめぎ合いの後悔

スパニッシュピンクの彩り カーボンファイバーの結託

もう来たくはないから さしでがましく 速達の 流動性

その日に ことばは まだ あっただろうか

誰も かれも から 忘れられた 短い 自分という存在とことば

自己の内省的世界に披露され

最後の日に ただ 祈りのもとへ

向かい 帰りなき 途方

ながれ ながれて やがて 骸よ

ことば もなく わが 骸よ

ただ ひとつの ポケットを残して