大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

星満ちる時【詩】




どうも うまくいかないんだ

と 涙を目の海に浮かべて

頭をかきむしった

もう、こんな年になるのに

何一つ うまくいかないんだ

丘の上からは デートに向かうカップルが見え

向こうの丘では 幸福そうな家族が暮らしているんだ

ここは 地獄かなって

何度も 何度も たずねたよ

曖昧な 僕の 純粋さは

もう 老けてしまって

悲しみばかりさ

好きな人がいたらよかった

愛してると真っ正直に言いたかった

ねぇ 涙はどこに 流れていくの

そこでは 誰が 泣いてるの?

星の満ちる前に

僕をさらって

星の満ちる前に

幸せに触れさせて

満ちてしまった星は

僕の影を消して

僕はこの世から

遠ざかってしまうんだ

ただ 生涯一度

君に想いを伝えれば良かった

雨はごうごうと僕らの街を濡らしていって

僕は小さな小さな

心の中のやさしさの火を

吹き消すんだ

星満ちる時に

心を隠す為に