大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

喜びの酒【詩】


手ぬぐいで顔をふいても

一向にさめない

今夜の酒は喜びで

泣き言さんざん言った季節の後で

空いた酒瓶で

夢が立つ

夜空高くも夢が立つ


悲しみひとつをこさえては

苦しみ重ねて

泣いたけど

今日、会えた事の喜びを

嬉しがって、杯すすむ

何が悲しかったとか

忘れるように

塗り替えるように

酔いのまわりもいい頃で

こんにちわ

となぜだかこんな時に

挨拶を

これから、人生新しく、また、生きていけそうだから

その道で会った人だから

山道で出会う人のように

こんにちわ

と挨拶をしなけりゃいけない

今夜の酒で

 

本当に嬉しい気持ちを沢山盛った

季節を忘れはしないように

涙のあとには詩が続き

叫んだ声は

きっといつかの僕を振り向かせている

あきらめるなよ

と落ち込みきったいつかの僕を

いつかよくなるからと

床で動けぬ病の僕を

 

喜びを酒に

言葉を酒に

やがて 誰も行ったことのない国の話

聞かせておくれ

酒にまかせて

聞かせておくれ

 

あんなにつらかったと

聞かせておくれ

涙で顔も見えない今日だけど

いつかのように

また、酌み交わせるさ

これから、また、その日暮らしの毎日で

とてつもなく大きなやつとの戦いで

びびっちゃいるけど

風ふいて

いつかのあんたの酒の詩のよに

風ふいて

あきらめきれないワタクシは

最果てまでは行ってやる

まだ、誰も知らない国のこと

見つけに

今夜、旅に出る

もう、遠くないはずと旅に出る

いつか、鳴り止んだ遮断機が上がったら

その向こうから帰ってくるから

いつか いつかで

百万年

いつか いつかで

風ふけば

酒のひとつも泣いている