大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

今夜はなぜか、あの頃くらいさみしくて【詩】

 

深く息を吸い込むと

寂しげな風が心に吹いて

ずっと ひとりだったらどうしようと

怖くなって

大きな手のひらを呼んだ

横たわりながら

ずっと

ひとりやったらどうしようと

泣いている私に

大きな手のひらは

心配はいらないことと

ご飯の準備が出来ていることを教えてくれた

 

いつも 誰かを助けたいとか思っているけれど

本当は自分がひとりになることがとても怖い

とてつもなく怖いから

あの人の匂いのついたニット帽

大事にしている

 

お気に入りの枕が手放せない小さな男の子みたいに

きっと大丈夫

今年にはきっと上手く咲けるように

私はなだらかな丘でのことを思い出して

くしゃくしゃに笑って

まぶた、閉じてみる

 

夜に広がった、胸の中の暗闇銀河は

きっとあの頃の私の挫折も知っていて

きっと昨日の私の秘密も知っている

だから、誰にも見せないように

暗闇銀河はしまっておくから

 

昔、マイナス思考の最果てみたいな場所で

ひとりを怖がって暴れた

ワンワン泣いて暴れた

母が安心させる言葉をくれたけれど

それも投げ捨てるように

泣いた 泣いて暴れた

 

だけど

どんなに泣きわめいて

何も変わらないって知ってから

私は少しづつ

あの場所から遠ざかっていった

 

もう、あんなに辛くならないように

今日は少しは上手く息もできているはず

暗闇銀河をとじてしまって

私はご飯を食べに部屋を出る

もう、この家もこの部屋もひとりではないから

そういう風に生きられるようになったから

さようなら

いつか寂しかった私へ

もう泣かなくていいから

安心していいから


だから

希望を

抱いて生きることを

恐れないで

 

いつか、咲く場所まで

もう、すぐそこだから