大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

Check me 【詩】

 

夜の間に

伸びた髪は

いくら切っても 川のようで

どこまでも続く 川のようで

あたしはシャワーを浴びながら

あばらに手を添えて

あたしの大きさ 確かめてみる

 

怪我した指先は痛むから

あたしは絆創膏を貼って出かけた

この季節を彩れないなら

まるで紅すぎた口紅のように

武装したつもりが 何もかもあけすけなの

一つも大事なメッセージのない週末に

あたしの弱さ 確かめている

 

どうしようもないから

髪をかきむしっても踊ってる

届きそうにないから

安い香辛料ふってごまかして

なんとか沈みそうになる毎日を

泳いでいる

 

はしゃげないけど

はしゃいだふりばかり

ノッてないけど

ノッたふりばかり

アルコールは強いめで

悪いの強めでお願いしている

どうせ誰かが 今夜も主役でしょうし

あきらめのついた夜だから

防犯カメラで目立つように

あたしの悲しさ 確かめている

誰か 誰かって 言いながら

誰か 誰かって 知りながら


間違えたタイピングみたいに

おかしくなってしまいたいから

今夜、新しい街で

誰かに出会うまで

睫毛を長くして

肩越しのウィンク続けるから

疲れてしまった事を後悔しながら

ノイズだらけのモニターで

あたしはあたしと確かめている

誰かに確かめてほしくて 確かめている