大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

カルバン クライン アダムズ シート【詩】

ささやかな会でした

少しうつむいていると

睫毛が目に入った様で

涙が出ました

だまくらかしたつもりはなかったけれど

私にもそんな頃があったのです

そう主張するように

国民偏差値一国一城

前納返金売却令

アウトサイダーからお越しよ

くだらない歌 歌うってさ

細い道かも知れぬれど

険しい道かも知れぬれど

くだらないのは

あなたに決まっていたはずでしょうに

いつも 同じ リズムの 同じ フレーズを

最下位の球団のヘッドコーチみたいに

ビクビクして

夜を越えていけ

スポーツ新聞を買いに行くといったきり

あの人は放蕩の暮らし

祈りの中に混ぜてしまって

欠落した誇りを生んだ大地は

恵みの賛歌を浴びている

林檎食べたしゃ 農家の子

林檎食べたしゃ 宿り木に

どこかの 民謡が土着的なテーマでクローズアップされつつある

春の事は忘れたから

からかいあぐねた

夜の帳に

ニシンが捕れりゃ もうずんで

ニシンが食いたら もうずんで

粗の神が下りてきて

寂しがりません

自分を証明するまでは

寂しがりません

私を証明するまでは

エロシチズムの台頭と

昼メロの大合作が

中学生の脳内でスパークし

とびきりの

ときめき

ビートルズも勝てないし

ストーンズも歯が立たない

今夜 立件してしまわねばならぬ

発禁本を見てやがる

発禁本を見て 熟読してやがる

タイトルは

ニューホライゾン

英語の教科書さ

おとんじゃ達には怖くてたまらない

英語を学んで

英単語を覚えて

英熟語を覚えてしまって

今夜

グーグルで検索するに違いない

あれも

これも

スイスも

ジュネーブ

きっと探し続ける一生さ

青い鳥は現代にはもういない

灯台は現代ではもとくらくなく

スタートはゴールではない

回顧録的検索人生の発展途上だ

そう、そうして

あの子は口紅を塗って

去って行く

どうして 検索したんだろう

どうして 探そうとしんだろう

知らなくてよかったじゃないか

忘れてしまえばよかったじゃないか

 

あなたがあなたであった日を追いながら

あなたは姿をくらまして

あの子はずっと探している

自分はアダムと信じて探している

遠く 歓声がわき

新しい概念を人は

アダムと呼んでいた