大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

言葉を忘れた詩人【詩】


この街の夜空は

黒いインクを流し込んだようで

めざし帽の男達が

真夜中の

24時間コンビニエンスに

徘徊している

言葉の前にキーボードを叩け

発想は後からでも遅くはない

まず、言葉のカードをきれ

全ては漸進的運動体

躊躇無きエンターキーの

プラズマティズム

感動した

同情した

励まされた

くそくらえってんだ

馬鹿が馬鹿に売るために

くだらない売文を販路に流す

自由とは決別だ

言葉の奴隷の行く先は

耽美的キータッチ

レスポンスはメンブレン

探し当てた方が

ルーズベルト

禁断症状みたいな

倒錯者

無慈悲な言葉であしらえやがった

ライブ会場でずっと

とんでらぁ

最終的に

泣くからさ

君は決まって

泣いちまうから

涙をふいてあげられるようにと

乾いた今治タオルをひそませる

発想の前に

キーボードを叩け

感覚で言語を操れ

論理においつかれるな

矛盾がどうした

破線で描け 大展望

誰かと誰かとの

幸せな一日に寄り添えない僕たちは

言葉になって

言葉にのりて

音をも越えたボリュームで

今、けたたましいくらいに

バレンタインニュース

スポーツキャスターが

プロ野球選手と

合図して

ドラフト会議は

カール ルイスに

ベン ジョンソン

リベンジマッチさ

ベースボール劇場で

 

結局、君は誰だったんだ

僕に不意に訪れた

恋人は

今朝にはもう

旅に出るらしい

 

僕にことばだけをすっかり渡して

今、吾郎と重層的に言い放つ

死ぬなよ

ってな

墓場は今日でいい

連続する殺人鬼は言葉にはかなわず、逃避行


愛も知らずに

言葉は殺せぬ

 

海を知らずに

山は描けど

 

人を知らずに

騙せはしない

 

愛と愛と愛と愛と情熱と放蕩とシチズンのQアンドQの新シリーズ

君は愛ではなかったし

僕も、まだ、愛はもっていなかった

だから、猿の真似をして

詩を書いて

プログラミングして

撮影して

ピントを合わせて

編集して

ギターを鳴らして

猿の免許を取りに行ったが

また、落第

 

どうやら 靴下を履いていたのがいけなかったようだ。

靴を履くと思われた。

どん畜生

どん畜生の

あんじろめぇ

靴を履くが何が悪ぃ

人間扱いしやがって

動物にしてくれ

獣にしてくれ

 

人間なんて

金輪際 むこう 100年 有効だ

最後に笑うのは誰かはわからなかったけれど

この世の王は

今、まさにけたたましいくらいの

バレンタインニュース


少年

世界を変えたきゃ

君の今いるクラスを

変えてからだ

 

小学校のクラスメイトひとり

変えられずに

君に世界は変えられぬ

 

どこまでものびていく朝の街の光景

台所でガスの火がつき

野菜がシャキシャキと切れられていく

 

この世の王が言ったはずさ

死ぬなよって

 

吾郎の様に

言ったろうて

だから いつか また 会う日まで

死ぬんじゃねえぞ

 

いつか

いつか

時が僕らの障壁を壊してしまうまで

鈍るなよ

 

君忘れ

迎えた春は

涙じく