大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

ヒッピー【詩】


軽々しくも

美しさをたたえた

お前に

この世界は似つかわしくない

断絶

絶縁

遠慮なく

ごちそうさま

 

新しい車を買ったからと

男は海に私を誘う

真冬の海なんて

後悔の前にすることがあるだろうに

贖罪の前にすることがあるだろうに

ヒッピー と口笛吹けば

悲しい知らせが届いてさ

国民健康保険料のお知らせと

前の住人宛のカタログが

木枯らしごとに

夜を重ねるたびに

もっと 悲しい知らせを届けるんだ

前略

あなたは

能なしです

拝啓

あなたは

不要品

誰か 誰かと

命の電話にかけようと

灯ったランプが

赤いまま

ジャック・ニコラウスみたいな人生ならよかった

僕は葉書の宛名を忘れて

毎日、詩を書いた

不信に思った郵便配達夫は

我先にと

私の家に不在届を

絶望よろしく

ひねりこんだ

ひねりだね

あいつも きっと

ひねりだろうね

優雅な客船に乗りながら

ジャック・ニコラウスは

みんなのゴルフをしている

 

相手は誰でもよかった

たたき割りたかった

常識に支配された

自分の発想の軌道線に

 

アポロ計画より深く濃密に

思慮の深淵に立て

ヒッピー

高らかに歌えば

君と同じ様な気持ちになれたかい?

ヒッピー

あの日の景色が

何度もうわごとの様に浮かぶよ

ヒッピー

君の大好きだった

飲み物を教えておくれ

ヒッピー

僕も

僕の大好きな飲み物を

教えるから

 

ヒッピー

天国より遙かに

地獄より深く

孤独と創造の深淵で

いつか

会おう

ヒッピー

輝きに満ちた朝日は

君を照らしているし

僕の明日も照らしている

ヒッピー

 

優しい人になりたかっただけなのに

酷く傷つけて

傷ついてばかりさ

ヒッピー アンド ロンリー

少しは上手く

話せるようになったかな

ヒッピー

一方的に自分の興味のあることだけを

ずっと話していないかな

話の流れと全く違うことを言っていないかな

人が何を伝えたいかくみ取れているかな

人の表情はちゃんと読めてるかな

ヒッピー

悲しみくらい

僕には何もかもできなくて

今も

途中さ

ヒッピー

朝が近いから

無理にでも笑おう

ヒッピー

暗い話なら

ポケットにねじ込んで

忘れてしまいな

ヒッピー

恥ずかしいことを

書かないと

伝わらないと

思うから

ヒッピー

照れずに

人生は素晴らしいと

歌うよ