大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

なかむらくんの今日の運勢【超短編小説】

なかむらくんは、尾見としのりに似ている。

そして、なかむらくんは、疲れ果てて、今日も、ワンルームの自宅に帰宅するや、寝てしまう。

最近の、なかむらくんの疲れ具合は、酷いものだ。

なかむらくんは、曖昧な日本人の宗教観が、大嫌いだった。

だから、なかむらくんは、星座占いや血液型占いも、大嫌いで。

スピリチュアルなものも、勿論。

最近、なかむらくんは、TVが、なかむらくんの2012年12月24日の占いを連日放送するようになったのが、耐えられない。

テレビを消したら、ラジオがついて、なかむらくんのこれまでと、それからについて、東大閥の学者が、集まり、議論している。

なかむらくんは、休みをとって、医者にいった。

髭をたくわえた世界最高齢のお医者さんが、言う。

「今は、いい薬がありますよ。」

薬局でもらった薬とやらは、「チチボーロ」であった。

なかむらくんは、チチボーロをかみ砕きながら、混線していく頭の中にある人物が、浮かぶ。

それは、いつまでも、サンドバックを叩き続ける。

ジョーである。

真っ白なジョーは、メビウスの輪の中で、サンドバックに、渾身の一撃をくらわせ続けている。

なかむらくんは、薬局を出ると、近くのボクシングジムに向かう。

「なにかをはじめるのに、おそいってこたぁない。」

スーツ姿で、現れた、目の下に深いくまの出来た尾見としのり似のなかむらくんを見て、ジムの受付は、困った顔をしている。

なかむらくんは、「明日のジョー」の主題歌を歌いはじめる。

ジムの空気は、やっかいなのってなもんで。

だけど、なかむらくん、2012年12月24日には、プロになっていた。

んでもって、なかむらくん、2018年にバンタム級世界チャンピョンになっていた。

インタビューになかむらくんは、こたえる。

「神さまが、間違えただけさ。時々、あの人も間違えるんだ。だって、50億超えた人間の事考えてるんだもの。」