大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

祖国【詩】

思い出に色彩はなく

ただ

あるのは

痛みと悲しみと

くるしみ

だけ

そこから

立ち上がろうとした

私たちは

もう

失うことさえ

なにもないのなけど

こわい

こわい

おそろしいのだ

また

地獄門をくぐるのかと

叫びにならぬ

笑顔をうかべ

今日も

平々凡々をくゆらせて

絶やさずに行く