大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

優しさ

 

悲しさの先に

 

涙の後に

 

咲く花は何なのだろう?

 

答えなんてないさ

 

永遠に問い続ける

 

あの頃、あの人が優しかったねって思い出して

 

どうしようもない時間の中

 

空を見上げている

 

冷たい風が服の隙間から入って

 

僕はこの街へ来た頃の事を思い出している

 

優しい人がいたな

 

沢山、いたな

 

時間はまるで手品のように優しい人達を奪っていった

 

空にかすかに浮かぶ雲はあの人だろうか

 

問いかける人もいない

 

アスファルトの上で

 

僕、何したいんだっけ?

 

と繰り返している

 

いつかは、これから優しい人とこれから飲みにいくところさ

 

いつかは、これから優しい人と劇場に行く予定さ

 

ねぇ 時間はどうして、いつも、そう残酷に優しい人を

 

ねぇ 時間はどうして、いつも、優しい時間をここに、とどめてくれない

 

寂しさの先に誰かいるのかな?

 

ヒリヒリとするむき出しの神経はこの冬の寒さにあまりに辛すぎて

 

空を見上げたまま涙が止まりそうにもないよ

 

どこに行けばいいんだろう?

 

どこのベッドはあたたかいんだろう?

 

晩ごはん代足りるかな?

 

優しさはどこで売っているんだろう?

 

今夜もきっと寂しさを抱きしめて眠る

 

答えなんてものはないのさ

 

問い続けることそれですべてさ

 

優しさなんてどこにも売ってないさ

 

さぁ、おやすみ

 

やがて、孤独に紛れて夢が走り出す