大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

てのひら【詩】

もう、恋などいらぬとあなたに書いた手紙は

 

純白の花嫁を祝う日に

 

どこまでも遠くの次元へと

 

空間をねじまげて

 

私の孤独に灯る情熱に火を注ぐ

 

こんにちわ

 

と出会って

 

さようならと

 

別れた

ただ、それだけだったのに

平坦な一枚の紙だったのに

私はあなたのほつれ毛に

 

宝石の様な輝きを見てしまうよ

 

まつげの先の

 

凛として

 

手のひらで抱いて

 

私の手を

 

手のひらで握りしめて

 

抱いて

それ以上、望むことなど

 

生涯、ありはしないから

唾液の交換も

 

体液の混ざる音も

無縁な恋がいい

 

狂おしい程に

 

手のひらで抱いて

 

頭のおかしくなるほどに

 

何度も

 

何度も

 

私の手を抱いて



あなたのぬくもりが

 

伝われば

 

私の鼓動は

生きる理由を見つけられるはずなの

唾液の交換も

 

体液の混ざる音も

 

夜の惰性に流されずに

 

私の身体の裏にべっとりとはりついた

 

醜い私の全てを

 

私の手のひら、全てで

 

あなたの手の全てで

強く 強く 清らかに 

 

抱いて

本当は私は私じゃなかったの

ボーイ ミーツ ガール

 

くらい単純な話

 

もう、夜は怖くないから

 

笑われても私の事だと思わずにいられるようになったから

 

時間なんて

 

くだらないだけじゃない

 

清らかに

 

とても、力強く

 

幾度も叫ぶよ

私を抱いてよって

 

てのひら、全てで私を抱きしめてって

 

いつか忘れてしまっても

あなたの詩は歌い続けるから