大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

世紀末を言い訳に【詩】


もう、泣かなくていいからと

 

優しいタオルケットのように

 

頬にあてた

 

ことば

街は雨で濡れていて

 

時間を確かめた腕時計は壊れていた

家で探し物をする自分を

 

どこかで客観視する自分がいて

 

まるで親父だよ

 

と嘲笑している。

最近、いいデザインの安い腕時計がないんだな

 

夜を横断するブラウザは

 

マーケットからマーケットに飛び移る

レイ・チャールズだっけ

 

あなたの音楽はどうしてそんなに素晴らしいのか聞かれて

ブラッド!

 

と答えたのは

確かに、嫌になるくらい流れていやがる

 

ブラッド

 

ブラッド

Forever Blood

で、ございますか。

 

丁寧に

 

血が滲んだような雨の道路を、自転車のタイヤで舐めながら

月に敬礼して

欧米コンプレックスと国粋主義者を脱ぎ捨てた

踊りたいだけさ

愛した人も

 

愛されぬ人も関係無く

くだらないカテゴライズから

 

自分事

 

抜け出したいのさ

ただ 強靱な感性で

 

踊りたいだけさ

 

童話に出てくる様な大きな鳥が飛んでいく

 

鳥は僕にたずねる

「この国はどこに行く?」

僕は、今朝見たニュースを思い出しながら

 

「さぁね。世紀末だからね。」

 

と答える。

 

雨の夜の街を

 

這うように車が行き交う

 

ライトを灯して

血のじゅうたんのように濡れた

 

道の上を

 

光を頼りにして

大きな鳥をやりすごすと

光に形容した希望に嫌気がさして

頭の中で

 

バカみたいに踊った