大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

スーパースター【詩】

テレビに映った 古いデジタルカメラの映像は にじんでいて

 

悲しくなるから 消えておくれ オレの恋愛ヒストリー

 

もう プリクラくらいしか 自分が写った写真なんてなくて

 

アナログの 僕の 歴然としたヒストリーは 

 

もう 誰かの 思い出の中でさへ にじんでしまってんだ

ランチを食べましょう

 

映画をみましょう

 

茶店で話しましょう

そして 夜にさまよう前に

 

笑って 手をふりましょう

にじんだデジタル

 

解像度とか ピクセルとか やけに詳しくなっていくけど

まだ アイ ドント アンダースタンドっす

 

どうやって 生きていったらいいのか

あの頃の僕は 生きているというより

 

どうやって この果てしなく与えられた 平均寿命を

 

自ら シャッター下ろすこと無く

 

今日が終わった

 

明日も心がグチャグチャにならない日でありますように

願っていたんだ

 

叫んでいたんだ

アイ ウォント トゥー ビー

 

自分の生きることを愛せることを

自転車に二人乗りしましょう

 

バイト代の出た日にはごちそう致しましょう

 

交換日記をいたしましょう

夜に 震えることがないように

 

夕暮れを見て 帰りましょう

あの頃の僕は 夢を叶えるとかいうレベルではなく

 

予備校もまともに通えない

 

自分を支えてるものが 自分でもなかった

今日が暮れていった

 

明日も心がグチャグチャになりませんように

 

願ってんだ

 

祈ってんだ

素晴らしすぎる世界なんて

 

一体どこにあるか 見当もつかないよ

ただ 人の恋の映画を見て

 

ただ 人の夢の挫折の映画を見て

自分がこの人生の主人公じゃないってことくらい

 

毎日 鏡の前に立てば わかったよ

でも クリスチャンでもないんだけどさ

 

光あれ

 

でゴザイマス

微かににじんだ デジタルの

 

0と1で織りなす 近代的ラブレター

夜を越えて

 

グチャグチャな気持ちを越えて

飛んでいけ

 

僕の 挫折多き 生涯をかけた 希望的観測 沸点超超越 フルスイングで

 

きっと 今 この時から スーパースター