大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

Country Shorts【詩】

僕は僕の曲がった鼻が嫌い

 

嫌い

 

嫌い

 

だけど好き

あの日、君が虫歯じゃなかったら

 

地球の自転を止めてでも

 

会いに行ったよ

 

君が虫歯じゃなけりゃね

 

水平方向に並んだ水銀灯は彼らの代表の様だけど

 

くだらないで済ましてしまおう

 

あの日、君が虫歯じゃなかったら

 

間接照明じゃなくてシャンデリアの店にしていただろう

 

くだらないのは、あいつの方に決まってる

記録に残るんだ

 

残すんだ

愛の証明に荷担した

 

くだらない奴らを

 

白日の下にさらすために

 

もし、君が虫歯じゃなかったら

 

タクシーじゃなくて

 

ツーシートで迎えに行ったよ

たいてい、人が愛と思い込んでいるものは

 

くだらない希望とやらと

 

思い込みの繰り出した

 

ナルシスティックな

 

自分への柔らかなまなざしさ

 

吐き気がすらぁ

醜い自分に早く気付けっての

 

銃口、こめかにつっこんでやっと吐きやがった

ヒー イズ ナルシスト。

 

自己肯定感とナルシズムをはき違えた。

上手く吠えられぬ、権力の犬にござらい。

潔癖 城下 百花繚乱

 

無菌室で生きていきなよ

人生丸ごと美容整形して

 

僕は

 

たとえ、何があろうとも

 

この鼻をいらわぬ

どれだけ時間がたっても

 

国が変わってしまっても

僕は僕の曲がったこの鼻が

 

嫌い

 

嫌い

 

だけど好き

モザイクをはぎとったら

 

そこには

ふるさと

って書いていた

もし、君があの夜に虫歯でなかったら

何もかもが揃えられても

僕には地球の自転を止めることくらいしかできないんだ

だから

鼻は曲げておくんだ

整えてしまったら

 

それこそ、美容整形の凛とした鼻のようで

 

正しかろうけど

正しいということは

 

すごく不自然なんだよ

 

って言って回るもんさ

僕の鼻は曲がっているから嫌い

 

嫌い

 

嫌い

 

だけど好き

臆病だけど

 

愛を信じたいんだ

 

人を愛したいんだって

 

本当は

 

歌ってるんだ

君が虫歯であろうとも

 

なかろうと