大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

流星【詩】

 

 

心の中がぐちゃぐちゃで、どうしようもない気持ちで、深夜にかけた病院の電話口で泣きじゃくる僕に

 

生きるに値する希望を与えてくれた看護師さんも

 

父親ともめた勢いで、ややこしいメールを送ることで、関係を修復不能にしたのに、また、連絡をくれた美容師さんや

 

沢山の人の仕事だけでは済まない、人間の優しさに

 

本当に、今、生きる意味を見失いそうになる僕に

 

生きてていいんだよ

 

と優しく、背中に手が回るような、ぬくもりを感じています。

 

夜のスーパーに行くと、値段なのか内容なのか、お客さんと店員さんがもめていて

 

随分、くだびれた体型と服装の中年男性二人が、袋にいっぱい、お楽しみを買っていきます。

 

半額になった寿司のコーナーで、僕と並んで、主婦が二人、USJのアトラクションのようにいつまでもそこにいます。

人生は一度きりだとか。知らないわけじゃなくて、知っているんです。

 

だけれども、上手くいかないんです。

 

歯がゆい思いで、夜空を見上げます。

 

各地で大雪のニュースを伝えた空は、澄んだ空気で

私は流星でありたいと思わせるのです。

 

母の生涯も流星で

 

父の生涯も流星で

 

弟の生涯も流星なのでしょう。

全宇宙の時間の総体からすれば、本当に一瞬のこの流星の中を

私は清々しく、一つの音符を補う、もう一つの音の様に、ただ流星のように

 

生きたいと思ったのです。