大いなる帰還【豚山肥太】

豚山肥太の詩と小説を綴るページ

夜の夢【詩】

頭の中がこんがらがっていました

あなたを見つけたら

 

すぐに抱きしめて

 

強く唇を奪った



愛のはじまりではなく

 

衝動で あの頃は生きていました

 

夜のことでも、結局、何も出来なくて

 

ただ、二人、裸で胸と胸をあわせて 抱き合っていました

 

こういう時 心臓の音は聞こえるのかと 思っていたけど

 

全く 聞こえなくて 部屋の中は 君の荒い息づかいだけでした



こんなことがしたかったわけじゃなく

 

ただ いつまでも 喫茶店で 長い話をしていたかったんだよ

 

抱きしめるって こうじゃないよ

 

愛しているって こうじゃないよ

 

ただ、君の体温はひどく低くて

 

優しさを 交換しているかのよう

 

もっと 喫茶店で 話していれば よかった

 

もっと 長電話していれば よかった

 

せつなさで 胸をかきみだされて

 

感傷にひたっていればよかった

 

激しい 口びるでなくていい

 

優しさでいい

 

コンクリートに木を植えた

 

炭酸水を飲みたい気持ち

 

汗を シャンプーで 流しきった後

 

ねぇ

 

まだ 愛してるといえるの?

 

また 喫茶店に戻れるの?

 

アイスコーヒーだけで

 

世界はすべてだったはずなのに

 

君と胸を あわせて 抱きしめた

 

世界のすべては君でした